ボート競技について
○●はじめに
漕艇部は、一人あたり1本または2本のオールで、人力で一定の距離を漕ぎ進めるというボート競技を行っています。
この競技にはさまざまな種目や距離があり、楽しみ方も異なります。
○●艇について
艇は細長く、短いもので8m、長いものでは20m近くあります。重心付近に可動式のシートがついていて、漕手はそこ
に進行方向後ろ向きに座り、船体に固定された靴を履きます。漕手の横にはリガーと呼ばれる金属製の骨組みがあ
り、これがオールを支えます。また先端にはトップボールがついていて、こちらを前にして進みます。
艇は漕手の人数、オールの本数、舵手の有無により分類されます。
一人の漕手が1本のオールで漕ぐのは、スゥイープ(sweep)、一人の漕手が2本のオールで漕ぐのは、スカル(scull)と
いい、舵手(cox)の有無は、「付」「無」といいます。
記号 |
呼称 |
漕手人数 |
舵手 |
一人当のオール |
重さ(最軽) |
1× |
シングルスカル |
1 |
無 |
2本 |
14kg |
2× |
ダブルスカル |
2 |
無 |
2本 |
27kg |
4×+ |
付クォドルプル |
4 |
有 |
2本 |
53kg |
4×− |
無クォドルプル |
4 |
無 |
2本 |
52kg |
2+ |
付ペア |
2 |
有 |
1本 |
32kg |
2− |
無ペア |
2 |
無 |
1本 |
27kg |
4+ |
付フォア |
4 |
有 |
1本 |
51kg |
4− |
無フォア |
4 |
無 |
1本 |
50kg |
8+ |
エイト |
8 |
有 |
1本 |
96kg |
このほか、3×(トリプルスカル)、8×+(オクトプル)なども存在しますが、レースは行われていません。
○●競技
レースは各クルーごとに幅約12mのレーンが割り当てられ、スタートラインにトップボールを並べます。この際ウォータ
ーマンとよばれる者がテールを押え、公平性を保ちます。スタートは、中央の発艇台にいる審判が旗を振り下ろすとと
もに、『Attention
GO!』という号令がかかります。フライングは一度まで許されます。ゴールは、最初にトップボールが
ゴールラインを通過したクルーから順位がつけられます。
予選→(敗者復活)→準決勝→決勝 のように行われ、一度に6艇ほど並べます。
レース中は後ろから審判艇(モーターボート)がついてきて、コース侵害しそうな艇に注意したり、安全管理をします。
○●ボートコース
レースは全国各地の漕艇場で行われていますが、大学生の主な大会は、埼玉県戸田オリンピックボートコースで行わ
れています。ここでの大会開催時は、ボートコース沿いに整備された道を自転車で追いかけて応援する人が多く、そ
ちらは自転車レースのように見えます。戸田は東京オリンピック開催の際整備され、全長2300m、幅80mほどの大
きくまっすぐな池です。東端には各大学、企業の艇庫が並び、「戸田村」とも呼ばれています。東大漕艇部の艇庫はそ
の南側の東端にあり、優れた設備や多数の艇を保有しています。
○●ロウイングエルゴメータ
ボートの練習は水上だけで行われるのではありません。風が強い日、冬の寒い日などにも練習するため、室内での練
習器具が必要です。エルゴは上図のような形をしていて、先端の丸い部分に風車がついています。シートに座り、棒を
持ってこれを引くことで風車が回り負荷がかかります。この負荷が上部のメータに表示され、漕いでいる強度がわかる
という仕組みになっています。ほかにも実際にオールを持っているように漕げるエルゴもあります。
○●ロウイングタンク
アジアに3台しかない、室内用の漕技練習施設です。東大には駒場の第二体育館にあり、大きな水槽に水が張られ、
自動で循環させて水の流れを作ることができます。両端にオールをつけ、実際にボートを漕いでいるような練習がで
きるようになっています。
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